2024年03月29日 11:10
○ ドジャース 7 − 1 カージナルス ● <現地時間3月28日 ドジャー・スタジアム> ドジャースの大谷翔平選手(29)が28日(日本時間29日)、本拠地開幕戦となったカージナルス戦「2番・指名打者」でフル出場。3打数2安打1四球の活躍でチームの快勝に貢献した。 これが新しい本拠地でのデビュー戦。大歓声を受けた初回の第1打席は無死一塁で元巨人のカージナルス先発・マイコラスから右翼線を破る長打を放ったが、大谷は一走・ベッツの三塁ストップを見落としており二・三塁間で挟まれ憤死。それでも記録は二塁打となり、韓国での開幕シリーズから3試合連続安打とした。 3回の第2打席は四球を選び、5回の第3打席は痛烈な右前打。打球速度は113.0マイル(約182キロ)を記録した。7回の第4打席は空振り三振に倒れ、今季3試合目は3打数2安打、1四球1得点1三振の打撃内容。打率は.385、OPSは.862となった。 ドジャースは初回、大谷の走塁ミスで一死三塁になったあと、3番・フリーマンの右前適時打などで2点を先制。3回は1番・ベッツの2号ソロで3点目を加え、続く大谷が四球で歩いたあと、フリーマンが1号2ランをバックスクリーン右へ。ベッツ、大谷、フリーマンの“MVPトリオ”が破壊力を見せつけた。投げては先発のグラスノーが6回2安打1失点の好投で移籍後初勝利。投打がかみ合い本拠地で快勝した。 ロバーツ監督は試合後、大谷について「アナハイムシリーズ(韓国シリーズ後のエンゼルスとのオープン戦3試合)は良い状態には見えなかったが、二塁打(初回)と単打(5回)は明らかにかなり強い打球だった。今日はかなり良かった」と評価。初回の走塁ミスについては「翔平は足が速いけど、前に走者がいることも忘れないようにしないとね」と笑顔で注文をつけた。 この日はベッツ、大谷、フリーマンの上位3人で計5安打9出塁。指揮官は「彼らは野球界のトップ10にいる選手たち。幸運なことに、そのうちの3人が我々の打順いる」と、“MVPトリオ”の活躍に上機嫌だった。
2024年05月10日 10:00
9日に放送された『ショウアップナイタースペシャル いつでもみんなのプロ野球』に江本孟紀氏が出演し、混戦セ・リーグを抜け出すための広島のキーマンに床田寛樹をあげた。
昨季5年ぶりにAクラス入りした広島はここまで勝率5割で、現在リーグ3位。チーム防御率はリーグ3位の2.39と安定しているが、チーム打率.226、81得点はリーグワースト。
江本氏は「ピッチャーが崩れたらダメだから床田です。ピッチャーは床田しか頼れない。一応チームを持たせるには、広島の場合はピッチャーしかない。どこまでピッチャーが頑張って持っていくか、その間に打線ができるといいですけど。九里がへたってるところで勝てないとなると、頼るのは床田しかないですよ」と、床田に期待を寄せた。
床田はここまでリーグ2位の防御率1.28、3勝をマーク。奪三振もリーグ5位の29の成績を残している。
(ニッポン放送ショウアップナイター)
2024年05月10日 10:00
150キロ台のボールが当たり前の時代にあって、阪神の先発ローテを支える大竹耕太郎投手(28)、村上頌樹投手(25)の2人が時折投じるのは、100キロ未満の遅球だ。球種としては、大竹がスローボールで村上はスローカーブ。打者の目線を変えるだけの見せ球ではない。遅い球を配球に組み込ませる意図、経緯に迫った。
山なりのボールが球場をざわつかせる。球速100キロに満たない遅球。決して、見せ球ではない。試合を組み立てていく中で、必要とされる球種になっている。
大竹の球種はスローボール。4月27日のヤクルト戦(甲子園)では、七回1死からサンタナに対し、79キロの遅球を投じた。結果はファウルとなり、助っ人は思わず苦笑い。その後、右前打を許したが、印象を残す1球となった。
このスローボールを投じる狙いについて、こう明かす。「打席に入るようになって、150キロが出ていてもストレートしかないと分かっていたら、僕でもバットに当たると思う。そこにいい変化球があれば、その球種が頭の中にちらつくというか。それが遅い球だったら、遅い球が頭の中にあって、真っすぐに対応しようとすると、差されると思う。打席で感じたものをそのまま投球に反映している」と説明した。
きっかけの一つには、野球を経験したことがない友人の声もあった。「『なんで遅いストレートを投げないの?』と聞かれた時に、野球していたら当たり前だけど野球してなかったらそういう発想があるんだと思わされた」と新たな引き出しが生まれ、取り入れたという。
もう1人の遅球の使い手でもある村上の球種は、中学時代に初めて覚えたというスローカーブだ。球速は80キロ台と100キロ台の2パターン。「ストライクゾーンに投げることを意識しています。ストライクゾーンから外れていたら、打者は意識もしてくれないので。スローカーブでストライクが取れたら、投球も楽にもなりますし。打者にインパクトを与えることができる」と話す。
150キロ超の速球を投げるのは、当たり前のようになっている時代。打者のタイミングを外すためには、より緩急が必要と考える。遅球には「打ち気をそらすとか。狙いを定められないように、目線を変えたり」という狙いもあると村上。有効に使うことで、直球だけでなく、他の変化球も生きてくる。
阪神の先発ローテを支える2人。今季ここまで、大竹は6試合に登板し、3勝2敗で防御率3・82。村上は6試合に登板し、2勝2敗で防御率0・88と抜群の安定感を誇る。飽くなき探究心がある限り、両腕はまだまだ進化を続けていく。(デイリースポーツ・井上慎也)
2024年05月10日 09:39
「怪我する前に戻れるようにまずはそこを目指して頑張っています」。
昨年5月19日に右肘鏡視下クリーニング手術を受けたロッテ・小野郁は、一軍復帰を目指し、ファームで実戦を積んでいる。
小野は19年オフに楽天へFA移籍した鈴木大地の人的補償選手として入団し、移籍1年目の20年に40試合、2勝2敗4ホールド、防御率3.23の成績を残すと、同年から3年連続40試合以上に登板。22年は自身初となるオールスターゲームに出場するなど、150キロを超えるストレート、縦横に曲がる2種類のスライダーを武器にパ・リーグの強打者たちをねじ伏せ、同年44試合に登板して0勝0敗18ホールド、防御率1.99をマークした。
昨季は初登板となった4月2日のソフトバンク戦で失点すると、らしくない投球が続き、10試合に登板して、0勝1敗4ホールド、防御率4.66と5月4日に一軍登録抹消。同月19日に右肘の手術を受けた。
復帰を目指す過程で「怪我しない体づくり、ウエイトをちょっと増やしてやっています」と、力を入れた。
リハビリを経て今年4月6日の西武二軍戦で実戦復帰。この日のストレートは最速152キロを計測し、仲三河優太に投じた初球、空振りを奪ったインコースの129キロスライダー、さらに3ボール2ストライクから空振り三振に仕留めた136キロのスライダーも縦に落ちる良い球だった。スライダーに関しては「ぼちぼち投げられているので、いいかなと思っています」と好感触。
その後は、4月17日のオイシックス戦で今季2度目の登板を果たし、4月25日の楽天との二軍戦で1回を無失点に抑え、ZOZOマリンスタジアムで行われた5月2日の日本ハムとの二軍戦では、昨年4月23日のソフトバンク戦以来となる本拠地のマウンドに上がり、1イニングをゼロに抑えた。小野はここまでファームで4試合・4イニングを投げ、0勝1敗、5奪三振、防御率9.00。
右肘手術から戻ってきてからの投球について「1年くらい空いているので試合の感覚を取り戻す感じで投げています」と明かし、現状は「5、6割くらいだと思います。もうちょっと(状態を)上げたいと思います」とのこと。
ストレートの強さについては「まだまだファウルもあまり取れていないので、もう少し強く投げられたらいいかなと思います」とまだ納得がいくボールが投げられていないようだ。
マリーンズに移籍してからはビハインドゲーム、勝ち試合と様々な役割をこなし、一軍のブルペンを支えてきた。「任されたところをしっかり抑えられるように少しずつ怪我前くらいの信用を取り戻せるように頑張りたいと思います」。長いシーズンを考えれば、小野の力は絶対に必要だ。ファームで登板数を重ねていき、1日も早く一軍のブルペンを支えて欲しいところだ。マリーンズファンも小野が一軍のマウンドに帰ってくることを待っている。
取材・文=岩下雄太
2024年05月10日 09:22
3回2死から高めの速球をバックスクリーンに突き刺した
■ブルワーズ ー カージナルス(日本時間10日・ミルウォーキー)
カージナルスのラーズ・ヌートバー外野手が9日(日本時間10日)、敵地で行われたブルワーズ戦に「2番・左翼」で先発出場。
2024年05月10日 09:12
今季19試合に出場し、打率.267、0本塁打、3打点だった
エンゼルスのアンソニー・レンドン内野手が9日(日本時間10日)、60日間の負傷者リスト(IL)に移行した。左ハムストリングを負傷し、4月21日(同22日)に10日間の負傷者リスト入りしていた。
MLBネットワークのジョン・モロシ記者は、エンゼルスがトレードでブレーブスからルイス・ギヨームを獲得したことに触れ、それに伴いギヨームに40人枠を与えるために、レンドンが60日間のIL入りしたことを説明した。
レンドンは今季19試合に出場し、打率.267、0本塁打、3打点。開幕から1番で起用され、21打数無安打と苦しんでいた。ナショナルズ時代の2019年に打点王に輝き、7年2億4500万ドル(約380億円)でエンゼルス入りしたが、毎シーズン怪我に悩まされている。またしても長期離脱となることが決定し、信頼は失墜している。(Full-Count編集部)
2024年05月10日 09:07
デトマーズ「彼は楽しむのが大好きだった」
ドジャースの大谷翔平投手が楽しんでいたジェスチャーゲームについて、元同僚が明かした。「ピッチング・ニンジャ」の愛称で知られる米投球分析家ロブ・フリードマン氏のポッドキャスト番組「Baseball Dojo」に出演したエンゼルスのエース、リード・デトマーズ投手は、「彼(大谷)は楽しむのが大好きだった」と球場での様子を述懐した。
デトマーズは「球場に来るときは日々、選手たちと冗談を飛ばしあっていた。サークル・ダウン(サークル・ゲーム)をしたりとか。彼はあれが大好きだった。だからそれをやりながらクラブハウス中を回っていたものだった。それで、振り向いた選手の顔を軽くはたいたりしていた。そうした小さなことさ。気楽な雰囲気を維持するようにして、ただ楽しんでいた。素晴らしい男だ」と称賛した。
またクラブハウスでもチームメートたちとふざけ合っていたそうで「今では英語が結構うまくなったが、まだ取り組んでいる最中だね」と“英語力”についても言及した。(Full-Count編集部)
2024年05月10日 09:00
9日に放送された『ショウアップナイタースペシャル いつでもみんなのプロ野球』に江本孟紀氏が出演し、中日について言及した。
中日は開幕直後一時最多の貯金を「6」とし、首位を走っていた時期もあったが、現在は14勝16敗4分の5位タイ。江本氏は「戦前の予想だと去年と同じくらいの感じで、中田が入ったからどうかというところでしたが、触発された細川が打つとか、チーム力が変わるというのが今シーズンの特徴じゃないですか」とここまでの中日について語った。
中日が混戦セ・リーグを抜け出すためのキーマンに「簡単です。中田です」と4番・中田翔の名前を挙げ、「打率は高くなくていいから怪我せずに、このままいて細川のお尻を叩きながら行けば、投打のバランスは悪くない」と続けた。
さらに江本氏は、「中田がいて前後が刺激を受ければ上に行きますよと。中田の存在は大きい。大健闘ですよ。ピッチャーは元々揃っている。それを活かすためには打線だけの話。そこがうまく行っているんですよ」と話していた。
(ニッポン放送ショウアップナイター)
2024年05月10日 08:29
今季15試合に登板して1勝3敗、防御率6.75
元ヤクルトでダイヤモンドバックスのスコット・マクガフ投手は、7日(日本時間8日)にマイナー降格が発表された。
2024年05月10日 08:00
9日に放送された『ショウアップナイタースペシャル いつでもみんなのプロ野球』に江本孟紀氏が出演し、阿部慎之助新監督体制となった今季のここまでの巨人について言及した。
江本氏は「試行錯誤していますね。“この選手”、“あの選手を使い”、本当は打順を決めたい。だけど、去年までと同じ、入れ替わり立ち替わり。固定できるまでの間、もうちょっと猶予がいるので、今の時点で阿部がどうだこうだ、と言うのは言える状況じゃない」と説明。
「主力選手が頑張ってくれるしかない。悪い選手は変えて、固定してきて最後初めて成功してくる。固定を目標にしてね、出した選手が活躍すると固定できるんですよ。そこをどういうふうに持っていくかが、これからの阿部監督の手腕ですよ」と続けた。
また、江本氏は「今の巨人は出た人がヒットを打つことだけを期待しているから、ここの場面はグッと我慢してボールを見るとか、塁に出るとか、状況で野球ができるような選手も作らないといけない。そこははっきり言って欠けてます」と指摘していた。
(ニッポン放送ショウアップナイター)
2024年05月10日 08:00
ローテ再編で約1カ月ぶりの貯金生活突入じゃ!広島の九里亜蓮投手(32)が9日、マツダスタジアムで行われた投手指名練習に参加。今季初の中5日で11日・中日戦(マツダ)に登板する見込みとなり「自分が投げた試合でチームが勝っていない。何とかチームが勝てるように」と闘志を燃やした。
この日の練習には、4日・DeNA戦で右人さし指のマメの影響で降板していた森下の姿はなし。土曜日に登板を続けていた右腕の状態を、永川投手コーチは「この3連戦は(登板は)ない」と説明。抹消はせずとも、登板をずらす判断を下した。
そんな中で頼りになるのが九里だ。中5日のマウンドも「彼は常日頃から詰めた方が投げやすいと言っている」と同コーチ。右腕も「僕自身はそう(間隔が空くより詰まった方がいい)ですね」と自信をのぞかせる。
今季は初の開幕投手を務めるも、ここまで6試合に登板し未勝利。前回5日・DeNA戦では6回4失点で3敗目を喫した。「映像を見てもボール先行になってしまう打者が多かった。どの球種でもゾーンの中で勝負したい」と持ち味であるテンポの良い投球を取り戻す考えだ。
「今まで通り、1人ずつアウトを取っていけるように。チームが勝てる投球をしたい」と意気込んだ九里。上昇気流に乗りつつあるチームに遅れぬよう“7度目の正直”で今季初白星を目指す。
2024年05月10日 07:40
大谷翔平は苦手だった5月に驚異的な成績を残している
ドジャースの大谷翔平投手が今季からの新天地となったドジャースで充実の5月を送っている。8日(日本時間9日)までの日程を終えて6試合で打率.476、4本塁打8打点、OPS1.625。まだ同月上旬ではあるが、メジャーでの過去6年と比較しても成績は大幅に向上しており、通算で打率.336、43本塁打、OPS1.194を記録している得意の6月へ向けての期待が高まる。
大谷の今季の5月の成績は6試合、21打数、7得点、10安打、22塁打、4本塁打、8打点、5四球、4盗塁、打率.476、出塁率.577、長打率1.048、OPS1.625と抜群の成績を残している。
過去6年間の5月通算成績は120試合、436打数、64得点、108安打、27本塁打、83打点、10盗塁、58四球、打率.248、213塁打、6死球、2犠飛、出塁率.343、長打率.489、OPS.832だった。キャリア通算の打率.279、OPS.933と比べても明らかに見劣りし、大谷にとっては鬼門とも呼べる月だった。同月は始まったばかりとはいえ、順調なスタートを切ったことは明白だ。
米データサイト「ベースボール・リファレンス」によれば、好調を裏付ける数値も出ている。今季の「ハードヒット率」は62.5%。これまでの最高値は54.2%とあって、破壊力が増している。「ハードヒット(強い打球)」とみなされる打球速度は95マイル(約152.9キロ)だが、大谷の今季の平均打球速度が95.0マイルで、こちらもキャリア最高となっている。
三振の割合も18.1%で、これまで最も低かった(優れていた)2023年の23.9%から向上。20%を下回るのは初めてだ。三振減少によるコンタクト率アップを裏付けるように、ライナーの割合も自己最高だった2019年の30.9%を上回る、34.5%を残している。
8日(同9日)終了後時点で安打(54)、二塁打(14)、打率(.355)、長打率(.678)、OPS(1.103)、長打(26)、塁打(103)の7項目でメジャートップと、すでに凄まじいインパクトを残している大谷。直近2試合は無安打に終わっているが、5月を通して状態の良さを継続することで、打棒が勢いを増す6月へ繋げたいところだ。(Full-Count編集部)
2024年05月10日 07:30
ド軍が公式X(旧ツイッター)に投稿
ドジャース・大谷翔平投手が真美子夫人との2ショットが驚異の注目度を示している。
2024年05月10日 07:17
機械部品製造業者「THK」とのパートナーシップ契約を発表
大谷翔平、山本由伸両投手の所属するドジャースは9日(日本時間10日)、東京を拠点とする機械部品製造業者「THK」とのパートナーシップ契約に合意したことを発表した。本拠地・ドジャースタジアムのLED看板に広告を掲示する。
ロン・ローゼンCMO(チーフマーケティングオフィサー)は「THKと新たにパートナーシップを形成することをうれしく思っている。THKの業界におけるイノベーションとリーダーシップは見事にドジャーブランドを補完する。将来的に我々はさらに成功を極めると信じている」とコメントした。
ドジャースは4月以降、航空会社のANA(全日本空輸)、タイヤメーカーのTOYO TIRE、医薬品メーカーの興和、100円ショップ「ダイソー」を展開する大創産業、配管システム全般の販売を営む専門商社「日本管材センター」、化粧品メーカー「コーセー」、ハウスメーカーなどの複合企業「木下グループ」と複数年契約を発表していた。(Full-Count編集部)
2024年05月10日 07:10
藤田宗一氏はWBCメンバーに選出も当初は難色…同期の球団広報に説得された
ロッテ、巨人、ソフトバンクで600試合全て救援登板したサウスポーの藤田宗一氏は、2006年に開催された「第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」で日本代表の優勝に貢献した。「実は、最初はメンバー入りを断っていたんです」。誰もが憧れる「JAPAN」のユニホーム。一体どういうことだったのか。
ロッテの2005年シーズンは嬉しくも長かった。リーグ優勝し、日本シリーズを制覇。おまけにこの年から創設された国際大会「アジアシリーズ」にも出場し、初代チャンピオンに輝いた。11月中旬までプレーすることになった。
藤田氏はフル回転の疲れを癒すべく、同学年の榎康弘球団広報(現スカウト)らと車で静岡県熱海市の温泉に向かっていた。榎氏が「あー藤田、そう言えばお前、WBCに選ばれてるぞ」と日本代表・鹿取義隆投手コーチから伝えられていることを明かす。「連絡あったか?」と尋ねられ、素っ気なく「いや、ないよ」と返した。
WBCは初開催。「まだ海の物とも山の物ともつかない。興味がなかった」と振り返る。毎年12月はボールを握らず完全休養に充てていた。サービスエリアでの休憩の際に榎氏が「行け。出ろ」と説得するが、「オフはゆっくり休みたいから行かへん、無理や」と拒絶した。
それでも榎氏は引かない。宿に着くや、鹿取コーチに電話を入れ「藤田は行きます」とのたまうではないか。
「エーッと驚いて、遠くから『鹿取さん、行かないですよ僕は』と言ったら、鹿取さんが『電話を替われ』と言う。『じゃあ、メジャー球を送るから用意しといてくれ』と指令を受けたので『いやいや、すいません』と断ったんですけど……。聞く耳を持ってくれず『あー、わかった』。それで決まっちゃいました(笑)」。問答無用だった。準決勝進出は絶望的状況も…諦めなかった王貞治監督
ロッテからは12球団最多の8人が選ばれた。2006年春季キャンプでWBCについて語り合うのだが、「大会はどういう仕組みなのだろう?」など戸惑いばかり。「皆、ゼロからですからね。自分もいつ投げるかわからないし、もしかしたら投げないかもしれない。とりあえず調整しとこう。そんな風でした」。
2月下旬に福岡ドームで代表合宿が始まった。王貞治監督(現ソフトバンク球団会長)の下、イチロー外野手(当時マリナーズ)、大塚晶則投手(当時レンジャーズ)のメジャー組2人も参加した。「イチローって結構喋るんだな、こんなに笑うんやと思いました」。稀代の安打製造機はチームをまとめようと心を砕いていた。
3月に開幕したものの、大会序盤の熱量は“微妙”だった。東京ドームで行われた第1ラウンド初戦の中国戦の観衆は約1万6000人。韓国に敗れ2勝1敗で、第2ラウンドの舞台・米国へ飛び立った。「ドームは最初は人が全然いなかった。アメリカに行く時も、僕らの頃はジーパンを履くとか私服でした。代表用のスーツとかもなかったと記憶しています」。
アナハイムでの第2ラウンド初戦。日本は、アレックス・ロドリゲス内野手(当時ヤンキース)ら現役メジャーリーガーが揃う米国と接戦を繰り広げる。同点の8回1死満塁からの左翼フライで、三塁走者の西岡剛内野手(当時ロッテ)がタッチアップ。勝ち越したはずが、米側は離塁が早いとアピール。主審はこれを認めた。登板を終えていた藤田氏はベンチで「セーフやんけ」と唖然。王監督が猛抗議するも変わらず、最後は3-4でサヨナラ負けとなった。
藤田氏は指揮官の姿勢が“奇跡”を起こしたと確信する。「王会長は試合後のミーティングで『まだ終わったわけじゃない。絶対チャンスはあるから』と仰った」。その後、韓国にも再び屈し1勝2敗で準決勝進出は絶望的となった。ところがメキシコが米国を破り、3チームの勝敗が並ぶ。失点率で日本が蘇った。
「みんな帰る準備をしていました。イチローも、メキシコが勝つとは思ってなかったのでは。でも王会長だけは『何があるかわからない』と諦めていなかった」出国時とは激変した状況…帰国時の成田空港は「人、人、人です」
サンディエゴでの準決勝は、3度目の正直で韓国に6-0で完勝。3月20日の決勝はキューバを10-6で制した。藤田氏も3番手で大会3試合目の登板を果たした。
劇的な優勝に日本は熱狂していた。藤田氏は到着した成田空港で驚く。「うわーっと、人、人、人です。『何じゃ、こりゃ』と。行く時は人がいなかったですから」。帰国後の状況は一変。家族と自宅近くの飲食店で食事をしても、客から話しかけられるようになったという。
昨年のWBCは、大谷翔平投手(ドジャース)を中心に代表招集の時点から大人気。藤田氏は「僕も今なら喜んで出ます。あれだけ騒がれるのなら。羨ましい」と笑う。
「持つべきものは友」とは本当だ。「榎様様ですよ。今でも食事に行ったら『お前のおかげや』と言います。アイツも『そやろ』と。あのまま断っていたら、僕は普通のロッテ選手でした」。日本が今後も世界に頂点に立っても「初代」というパイオニアの冠は煌めき続ける。(西村大輔 / Taisuke Nishimura)
2024年05月10日 07:00
◆ 2023年より新設されたリーグ公式表彰
セ・リーグ公式配信番組「JERAセ・リーグレジェンドLIVE」が9日に生配信され、番組内で『3・4月度 JERAセ・リーグAWARD』の公開選考会を実施。ヤクルトのミゲル・ヤフーレが月間大賞に輝いた。
『JERAセ・リーグAWARD』は2023年より新設されたリーグ公式表彰で、JERAセ・リーグ公式戦全375試合(日本生命セパ交流戦を除く)において、公式記録員が当該試合で“勝利に最も貢献した選手”を1名選出。この回数を月単位でチーム別に集計し、ノミネート回数が最も多かった選手が球団代表選手となる。
6名の代表選手は翌月の「JERAセ・リーグレジェンドLIVE」の番組内で実施される公開選考会に進み、レジェンドOBたちの討論によって1名の月間大賞を選定。表彰選手には(株)JERAより賞金が贈られる。
公開選考会では、各選手の活躍ぶりを振り返ったうえで、出演したレジェンド6名が月間大賞にふさわしいと思う選手1名に投票。3・4月度の公開選考会ではレジェンドが「昨年からやってきて、今回が一番難しい……」と口を揃えた合議の末に、6名の投票で阪神・森下翔太とヤクルト・M.ヤフーレが2票ずつを獲得し決着は決選投票へ。その結果、お互い3票ずつ獲得と再び同数で並び、最後は議長を務めた宮本慎也氏の選定によりM.ヤフーレが月間大賞に輝いた。
議長を務めた宮本慎也氏は「春季キャンプの時に伊藤コーチが『ヤフーレおもしろいぞ』と言っていたんですよ」と話し、開幕前から注目していたことを明かすと、続けて「凄いボールがあると言うわけでは無いですが、ボールを散らして、上手いピッチングをするなという感じがします」と助っ人右腕の“投球術”を高評価した。
◆ 3・4月度 JERAセ・リーグAWARD
<ヤクルト>
ミゲル・ヤフーレ
・ノミネートプレー
[3/31]6回2失点の好投で来日初勝利
[4/14]6回無失点と粘りの投球で勝利投手に
[4/29]9回94球、3安打完封とマダックスを達成
◆ 3・4月度の球団代表選手
<阪神>
森下翔太
<広島>
床田寛樹
<DeNA>
度会隆輝
<巨人>
岡本和真
<ヤクルト>
ミゲル・ヤフーレ
<中日>
涌井秀章