2021年10月25日 22:21
【取材の裏側 現場ノート】約束は果たさなくては…。25日、プロ20年目の巨人・大竹寛投手(38)が東京ドーム内で引退会見に臨んだ。 ラーメン好きで知られた大竹らしく「102勝101敗」の通算成績にかけて「101杯」のカップラーメンを報道陣のために用意。ホッとした空気が充満し、ラーメンの山が並ぶ異例の会見となった。 冗談ではなく、ラーメンなくして語れない珍しい投手だった。巨人移籍1年目の2014年、大竹は9勝6敗ながら、防御率3・98とFA戦士としては不本意な成績に終わった。首脳陣からは原因として体重管理のまずさを指摘され、無期限のラーメン禁止が言い渡された。 引退会見では「実は現役時代もけっこう食べていた」と話して笑いを誘ったが、そのオフは自制したのだと思う。食事制限と走り込みで5キロ以上絞って、見違えるボディーラインでキャンプイン。ところが3月のオープン戦で異変が表れた。体重を落とした結果、球威と球速が大幅に落ちて打ち込まれてしまったのだ。 これに気付いた首脳陣は、ただちに大竹のラー禁を解除。ウソのような、本当の話だ。 大竹といえば、もう一つ思い出したことがある。2016年6月のある練習日、カメラマンがジャイアンツ球場で衝撃の瞬間を捉えた。投手陣がノックを受けていた際のこと、大竹は何でもないゴロの捕球に失敗。球が股間をクリーンヒットした瞬間が、かつてないほどパーフェクトに激写されていたのだ。 後日、写真が掲載された記事を見た大竹は、記者の顔を見つけるなり「すごい瞬間を抑えてましたねえ」。もちろん不満ではあっただろうが、苦笑いで済ませてくれるのが愛されキャラのゆえんだ。「責任を取って、あの写真ちゃんとくださいよ。飾りますから」と言われていたのだった。 問題の衝撃写真はその後にプリントしたものの、手渡せずまだ記者の手元にある。巨人担当を離れてごぶさたしてしまっているが、この約束はいつか果たしたい。まずは現役生活、お疲れさまでした。(デジタル事業室・堀江祥天)
2024年05月05日 09:00
○ 巨人 2x − 1 阪神 ●
<8回戦・東京ドーム>
4日に放送された『ニッポン放送ショウアップナイター 巨人−阪神』で解説を務めた谷繁元信氏が、阪神・西勇輝と巨人・岡本和真の打席について語った。
先発の西は、0−0の初回一死走者なしから佐々木俊輔に中安、続く吉川尚輝に右中間に打たれるも、ホームを狙った一塁走者・佐々木が本塁タッチアウト。二死二塁で岡本を3ボール2ストライクから134キロの変化球で空振り三振。続く1−0の4回一死走者なしのこの日2度目の対戦は、西が2ボール2ストライクから外角の134キロスライダーで空振り三振に仕留めた。
谷繁氏は「1球目をレフトにファウルされましたけど、あの1球以外はほぼ打てるボールがなかったですよ。両サイドをきっちり投げ分けて三振にとって、1打席目にインサイドを意識させたんですよ。今(2打席目は)1球も使わずに三振」と1打席目と2打席目の空振り三振を解説した。
西と岡本のこの日3度目の対決は1−0の7回無死走者なしの場面。西は1ボール2ストライクからのスライダーを泳がせ、岡本を左飛に打ち取った。谷繁氏は「1ボール1ストライクから真ん中のスライダーを打ち損じた時点で分が岡本の方が悪くなりましたよね。西からすれば失投ですから、ファウルしてくれたのでさらに丁寧にコーナーを狙ってしっかり投げましたよね」と振り返った。
西は巨人の4番・岡本を3打数0安打2三振と仕事をさせなかった。
(ニッポン放送ショウアップナイター)
2024年05月05日 08:37
◆ パドレスがアラエスを獲得
現地時間4日、サンディエゴ・パドレスがルイス・アラエス内野手(27)の獲得を発表。対価として高佑錫(コ・ウソク)投手(25)ら4選手をマーリンズに放出した。アラエスは同4日のダイヤモンドバックス戦で「1番・指名打者」で先発出場し、パドレスデビューを果たす。
WBCベネズエラ代表のアラエスは2019年にツインズでMLBデビュー。2022年にツインズで、2023年にはマーリンズで首位打者を獲得し、史上初めて2年連続での両リーグ首位打者を達成。昨季は打率.354、203安打、10本塁打、OPS.861という成績を残し、チームのポストシーズン出場に大きく貢献した。キャリア通して内野4ポジションと左翼での出場があるが、近年は二塁手がメイン。今季は33試合に出場し、打率.299、OPS.719をマーク。現地時間3日のアスレチックス戦で今季初めて欠場し、試合中にトレードが報じられていた。
対価としてディロン・ヘッド外野手、ジェイコブ・マーシー・外野手、ネイサン・マルトレラ内野手の3人の有望株に加え、WBC韓国代表の高佑錫がマーリンズへ移籍。高佑錫はKBOで通算7シーズンプレーし、139セーブを挙げたリリーフ右腕。ポスティングシステムを利用し、今季から2年契約でパドレスへ加入していたが、オープン戦で結果を残せず、韓国での開幕シリーズのロースター入りを逃していた。開幕後は2Aサンアントニオで10試合に登板し、0勝2敗、防御率4.38という成績。パドレスでの出場が無いまま、新天地へ移ることになった。
現在ナショナル・リーグ西地区2位のパドレスは、2年連続のポストシーズンに向けて大きな補強となった。一方、マーリンズは開幕9連敗を喫し、借金16でナショナル・リーグ東地区の最下位。来季以降に焦点を当てるトレードとなった。
2024年05月05日 08:30
◆ ストレート
「球自体はすごくいい感触で投げられている。いい感じで投げられています」。
開幕から1カ月ここまでの登板についてロッテ・小島和哉はこのように振り返った。
2年連続開幕投手を務めた3月29日の日本ハム戦は5回・3失点で敗戦投手となったが、4月5日のオリックス戦では9回・107球を投げ、4安打、6奪三振、0失点で今季初完封で今季初勝利。4月12日の楽天戦、4月20日の日本ハム戦は敗戦投手になったが、前回登板の4月28日の楽天戦は7回・108球、5安打、4奪三振、1失点で2勝目を手にした。
今季の小島は開幕からストレートが良い。前回登板の楽天戦でも、5−0の4回先頭の浅村栄斗を3ボール2ストライクから首を振って6球目のアウトコース147キロストレートで見逃し三振は素晴らしかった。試合後、本人にそのことを伝えると、「そうですね、うん、良かったかなと思います。長打打たれないようにというのだけ気をつけて、シングルOKだと思って投げていたので、そこは良かったと思います」と振り返った。
では、ストレートが良い要因はどこにあるのだろうかーー。
「なんですかね」と少し考えた後、「オープン戦の時と比べたら肩甲骨周りが緩かったのですが、トレーニングでうまく締められている感じが、力が入る感じになっています」と説明し、「この自主トレでも真っ直ぐにこだわって意識して取り組んできた。ヒットは打たれていますけど、平均的には良い球が投げられているかなと思います」と続けた。
4月20日の日本ハム戦では初回からストレートで押していくパワーピッチング。7回2/3・122球を投げたが、そのうち79球がストレート。特にレイエスに対しては3打席で16球を投げたが、そのうち変化球はわずかに2球だけだった。
「真っ直ぐあっての変化球だと思いますし、真っ直ぐ投げての対応を見て、まだいける、まだいけるという感じで投げていたので、はい。苦手な球というか、相手が嫌にしている球を続けるのはいい攻めだと思うので、そんな感じですかね」。
◆ チェンジアップも良い抜け
ストレートも良いが、チェンジアップも良い抜けをしている。ストレートが良いからチェンジアップの抜けが良いのだろうかーー。
「多分そうだと思います」としながらも、「チェンジ、フォーク系はちょっとムラがあるので、その辺が安定してきたらもう少し成績も安定してくるのかなと思います」と自己分析した。
チェンジアップの軌道が今季、昨季までに比べて抜け具合が変わったように見えるが、そこについては「握りを1球、1球変えているので、その辺は投げている球で変わっています」と明かした。
握りは打者によって変えているのだろうかーー。
「縦に落としたいなとか、単純に奥行きだけ出したいなとか、ちょっとだけ逃げていくような軌道にしたいなとか、意図しては変えてたりしますけど、はい」。
13時から行われる楽天戦に先発する。先発ローテーションの柱として今週も1イニングでも長く投げて欲しいところ。「1年間投げるのは当たり前、7回投げるのもここまできたら当たり前だと思うので、目指す目標は高く持って、勝ちに貢献できたらと思います」。チームを勝利に導くため、マウンドに上がる。
取材・文=岩下雄太
2024年05月05日 08:20
オリックス、エスピノーザが信じたゴンザレスの“配球”
■オリックス 3ー1 日本ハム(4日・京セラドーム)
まさかの方向から“飛んだ声”が、勝利に導いた。
2024年05月05日 08:10
エンリケ・ヘルナンデスが語る大谷「個性が表にすごく出ている」
ドジャース大谷翔平投手は移籍1年目で、同僚選手から全幅の信頼を得ている。ポッドキャスト番組に出演したエンリケ・ヘルナンデス外野手は3月の韓国遠征に触れ、元通訳の水原一平容疑者がチームを離れた後に心を開くようになったとし、「実は面白いヤツ」と語っている。
プエルトリコ出身の32歳は、昨年途中にドジャースに加入したユーティリティ。地元ラジオ局「AM 570 LAスポーツ」のポッドキャスト番組「Roggin & Rodney」に出演した際に大谷に言及した。英語力については「スピーキングは日に日に上達しているし、言語を理解するのと、会話をするのはすごく異なるものさ」とし、「彼が同じチームにいてくれて僕はうれしいよ。特別な才能を持っている」と称賛する。
さらに韓国遠征の最中に、水原容疑者の賭博問題が発覚しチームを去ったことに触れた。「韓国での出来事は雑念になりやすいと思うし、それでいて彼の振る舞い方は完全にプロなんだよ」と唸る。「あの日以来、僕らは彼を支え、何があっても味方だと伝えたことが影響したのかはわからないけど、何というか彼が心を開くようになった」と変化があったことを明かした。
「彼の個性が表にすごく出ている。周りにいて楽しいし、実は面白いヤツなのさ」とヘルナンデスは続けた。大谷を支えることを伝えた同僚たち。それに応えるかのように心を開くようになったという大谷。絆は深まっている。(Full-Count編集部)
2024年05月05日 08:00
○ 巨人 2x − 1 阪神 ●
<8回戦・東京ドーム>
4日に放送された『ニッポン放送ショウアップナイター 巨人−阪神』で解説を務めた谷繁元信氏が、阪神・大山悠輔の第2打席の二飛について言及した。
大山は0−0の4回無死二塁の第2打席、巨人先発・菅野智之が3ボール1ストライクから投じたカットボールを打ちにいくも二飛に倒れる。二塁走者の森下を進めることができなかった。
谷繁氏は「打つのは4番ですからヒットを打ちにいく、長打を打ちに行くのはいいと思うんですよね。進塁させることを頭の片隅においたバッティングをするといいんじゃないかなと思うんですけどね」とチクリ。
谷繁氏は「清原さんが西武で4番を打っていた時に、自分が犠牲になって4番なんだけど逆方向に打つとかね。そういうことをやれる4番バッターだったじゃないですか。大山はそういうバッティングができる時はするんですけど、さらにできるようになるともっと阪神は嫌なチームになると思います」と自身の見解を述べた。
(ニッポン放送ショウアップナイター)
2024年05月05日 08:00
「広島4−1DeNA」(4日、マツダスタジアム)
打った瞬間、広島・松山竜平外野手は右手を突き上げていた。両手に残った久々の感触。この一瞬を求めて生きてきた。沈みがちだった本拠地の鯉党を沸き上がらせた、殊勲の勝ち越し3ラン。自身2年ぶりの一発をかっ飛ばし、ゴールデンウイーク後半に黄金の輝きを放った。「打った瞬間、行ったと思いました。最高に気持ち良かったです」と会心の一打の余韻に浸った。
ドラマは七回、同点となり、なおも2死一、三塁の好機に代打で登場。徳山の149キロを見事に振り抜くと、打球の到達点を確信した。球場全体が総立ちになった一撃は右翼スタンド中段へ。「けっこう飛んでましたね。まだ、パワーは落ちてないな」と笑った。本塁打は2022年9月23日の阪神戦以来、589日ぶり。ベンチ前では仲間から盛大に祝福され、森下とは抱き合った。
並々ならぬ思いを込めた。3日の一戦では、2点を追う八回1死二、三塁の好機に代打で登場。だが初球を打ち上げ一飛に倒れていた。「信頼してああいう場面で(代打で)送ってもらって、裏切ってばかりだった」と自責の念があった。
3日夜は午後11時ごろに就寝したが、1時間おきに目が覚めた。「久しぶりにメンタル、やられました」。目を閉じても好機での凡退がフラッシュバックする。それでも悔しさをリセットし、新たな勝負で最高の結果を出したところに、ベテランのすごみがある。新井監督も「(前日に凡退し)すぐ結果を出すところはさすが」と最敬礼だ。
これで代打通算安打は、球団歴代単独3位の109本となった。「代打でもスタートで出た時もしっかり結果を出せるように、また明日からがんばっていきたい」。次なる歓喜に向けて、刀を研ぎ澄ます。
2024年05月05日 08:00
「巨人2−1阪神」(4日、東京ドーム)
阪神が今季初のサヨナラ負けで巨人に連敗を喫し、7カードぶりの負け越しとなった。
2024年05月05日 07:40
アンバサダーを務める「BOSS」のゆったりとした黒いジャケットがお似合い
ドジャースの大谷翔平投手が披露した着こなしに、米メディアから意外な指摘を受けている。2日(日本時間3日)、ドジャースタジアムで行われたチャリティイベント「ブルー・ダイヤモンド・ガラ」に真美子夫人と参加。ブランドアンバサダーを務める「BOSS」のゆったりとした黒いジャケットで登場した。
同イベントには、ドジャースの選手たちが夫妻やカップルで出席。真美子夫人も大谷とお揃いの黒色のジャケットとバッグでコーディネート。2ショットの写真撮影に笑顔で応じたり、プライベート・コンサートを行ったグラミー賞歌手のエド・シーランと交流したり、リラックスした時間を過ごしたようだ。
抜群のスタイルでどんな着こなしでも似合う大谷だが、米メディアからとある指摘が……。ドジャース専門サイト「ドジャー・ブルー」は、「このスーツは多くの話題を呼んでいる。しかしながら、だぼだぼでゆったりしたスーツは、日本では特有のスタイルのようである」とX(旧ツイッター)に投稿した。
ゆったりとしたスーツが本当に日本で流行っているのかどうか、米国のファンからは疑問の声も。SNS上では「ゆったりしたスーツって日本のスタイルなの? 詳しい人誰か教えて〜」「韓国シリーズの時に東アジアを旅行した。『だぼだぼ』が東アジアで現在のトレンドだ」「いや、向こう(日本)に彼と同年代の友人がいるけど、こんなスーツを着ていない」との声があがっている。(Full-Count編集部)
2024年05月05日 07:30
西武の羽田慎之介が2軍戦で9回2安打完封、5試合に登板して防御率0.33
西武の高卒3年目、20歳の羽田慎之介投手が2軍で無双投球を続けている。3日にCAR3219フィールドで行われたオイシックス戦に先発登板すると、9回2安打無失点でプロ初完封。5試合に登板して防御率0.33と格の違いを見せている。
初回2死走者なしから四球を与えたが、4回まで無安打投球。5回先頭の陽岱鋼に二塁打を許したものの、後続を打ち取って無失点で切り抜けた。6回も先頭に二塁打、2死から四球を出したが無失点。7回からは走者も許さなかった。
身長191センチの長身から、この日の最速は154キロ。1軍では未登板ながらポテンシャルはメジャー級と言っても過言ではないだろう。27イニングを投げて31三振で奪三振率10.33、被本塁打ゼロ、被打率.096とほぼ打たれていない。
なかなかお目にかかれないレベルの超逸材に、SNS上でもにわかに話題となってきている。ファンからは「メジャークラスのポテンシャル」「羽田だけは普通に次元違う。おかしい」「普通に菊池雄星レベル」との声があがっている。(Full-Count編集部)
2024年05月05日 07:29
試合前に語ったロバーツ監督「素敵な、ちっちゃなポルシェを」
■ドジャース ー ブレーブス(日本時間5日・ロサンゼルス)
ドジャースのデーブ・ロバーツ監督が4日(日本時間5日)、本拠地・ブレーブス戦前に取材に応じ、大谷翔平投手から「ポルシェのおもちゃ」をプレゼントされたことを明かした。
「私のドジャースでの記録を破る寸前の選手が、ポルシェのギフトを買ってくれた」
大谷は4月26日(同27日)のブルージェイズ戦で7号ソロを放ち、ロバーツ監督の持つ球団の日本出身選手の選手最多本塁打記録に並んでいた。記録更新が目前に迫る中で、些細なプレゼントを受け取ったようだ。指揮官は「ショウヘイは私のために、素敵なちっちゃなポルシェをオフィスに持ってきてくれた」と話した。
米スポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」のドジャース番ファビアン・アルダヤ記者によると、おもちゃは紫色のポルシェで、指揮官のデスクの上に置かれているという。
同戦には「2番・指名打者」で出場予定。4試合連続安打、5月初アーチとなる8号に期待がかかる(Full-Count編集部)
2024年05月05日 07:20
ファン再注目…大谷&真美子さんの「雰囲気似てるなぁ」
ドジャースの大谷翔平投手と夫人の真美子さんは2日(日本時間3日)、本拠地で開催された球団チャリティイベント「ブルー・ダイヤモンド・ガラ」に参加した。
2024年05月05日 07:10
藤田宗一氏は京都から長崎へ野球留学…島原中央に進学した
ロッテ、巨人、ソフトバンクでリリーフ一筋通算600試合に登板、2006年WBCでは日本代表の優勝に貢献したサウスポー、藤田宗一氏は京都府出身ながら、1988年に長崎県の島原中央高校に野球留学した。「何かあったら正座でした」という強烈な上下関係に耐える日々を過ごしたが、一度は故郷に戻ろうと決意したという。
藤田氏は中学に入学すると、学校の軟式野球部ではなく、硬式の「南京都シニア」でプレーした。中日の片岡篤史ヘッドコーチもOB。中3の時に監督から「高校生の練習に行ってこい」と指示された。京都・宇治市内に島原中央が遠征で訪れており、同校にはシニアの先輩たちが進んだ実績があった。
「ただ人が足りないから行けと言われたと思っていたんです。でも行ったのは僕だけ。セレクションだったのでしょう」。高校生に交じって汗を流し、ピッチング。島原中央を1986年夏に初の甲子園に導いた森崎哲哉監督が、すぐ横で視察していた。「うちへ来るか」と誘われ「軽い感じで仰ったので、自分も軽い感じで『はい』と答えました」。
その後に地元・京都を含めた数校の強豪からも打診があったものの、遠く離れた学校を選択した。「まずは一番最初に声を掛けて頂いた高校なので。甲子園に出た時の監督さんですし。それに長崎は関西地区に比べると校数が少ないから、4回くらい勝てば県大会優勝。もしかしたら甲子園に行ける。そんな気持ちでした」。
いざ九州へ。長崎市には中学時代に修学旅行で足を運んでいた。だが、島原市の景色は全く違った。「島原中央に進む関西の他の選手たちといっしょに、飛行機で長崎空港に着きました。ああ、いい所だなと思って車に乗ったのですが、1時間、2時間と走って行く程に何にもなくなっていく。海と山しかない。えーっ、どこに行くんやろなと考えていました」。
旅館を改装した寮は、8畳くらいの1部屋を3年生、2年生、1年生の3人で過ごす。「入学式まではメチャクチャ良かったんですよ。こんな生活、ええなぁと。先輩たちが『今はお客さんやからな』と話してましたが、その時は“意味”がわからなかった……」。「ケツ割るのか」父の言葉に猛反発「あの言葉がなければ今はない」
入学式の夜。藤田氏は“意味”を叩き込まれた。「新入生が食堂に集められました。1時間くらい正座のまま、野球部のたくさんある決まり事を全て教わりました。監督、先輩への『さん』付けや、返事は何秒以内にとか。練習後にボールが1球落ちていたら1時間の正座。食事の当番など寮生活の事もです」。当初1年生は20人いた。
決まり事に抵触するとどうなるのか。「集合が掛かって……。いや、もうエグいです。連帯責任で目をつぶって正座。炊飯器や湯呑み茶碗が飛んできたり。薄目で見ていたりすると、ばれた瞬間にバコーンといかれます。当時はこれが普通と思っていました」。2時間の正座の後、しびれた足で8キロのランニングを命じられたことも。それも夜の8時過ぎに、戻ってくるまでの制限時間を設定された上でだ。
「野球の練習自体は何とも思わなかったんですが……」。入学から2か月、父の繁和さんに連絡を取った。寮の公衆電話は3年生しか使えないので、街に出て探した。状況を説明して「先輩をしばいて帰るわ」と伝えると、「自分で決めて行ったのにケツ割って帰んのか」と怒られた。藤田氏は「うるさい、ボケ」と猛反発し、電話を切った。
「『見とけよ、3年間やったるわ』と。今になって考えると、親父は僕の性格を知っていたので、敢えてああいう対応をしたんでしょうね。あの言葉がなければ今はないですよ」
藤田氏は同学年の武藤幸司投手(現西武球団・査定チーフ)との両輪で奮闘。しかしながら甲子園の土は一度も踏めなかった。2年秋には選抜を懸けた九州大会に進出している。初戦で東筑(福岡)に敗れたのだが、この時の部員数は総勢10人にまで減っていた。
「朝起きると一人、また一人といなくなって……。去っていく子は言ったら止められるから、みんなが寝ている間に離れる。2年の秋は僕らの世代は9人、1年は1人だけ。だから1年生がやる仕事を自分たちは2年間やったんです。みんなで協力し合って結束力がありました」
藤田氏は回想する。「厳しいけど楽しかった。経験した人にしかわからないと思います。あの時の島原中央で、もう一回やれと言われても僕はできますよ」。父と仲間のおかげで高校生活を乗り切った。(西村大輔 / Taisuke Nishimura)
2024年05月05日 07:00
◆ 粘り光った中日打線に田尾氏「勝っても負けても点がよく入っている」
連敗脱出を狙う中日は4日にヤクルトと対戦。延長12回・5時間越えとなった死闘の末、7−7の引き分けに終わった。5−7と2点を追う中日打線は9回、一死走者なしから1番大島洋平が安打で出塁すると、2番村松開人が四球を選び、一・二塁の好機を作る。3番細川成也の適時打で1点差に詰め寄ると、なおも二・三塁で4番中田翔が犠飛を放ち、同点。試合を振り出しに戻した。
9回に見せた中日打線の粘りに、4日放送のフジテレビONE『プロ野球ニュース2024』でも称賛の声が上がった。
田尾安志氏は「今日はヤクルトが勝たなければいけない展開だった。6回には中日に4点差をつけていたが、そこから中継ぎ陣が踏ん張れなかった」とヤクルトへ苦言を呈すと「逆に中日は、中継ぎ陣が7回から6イニング無失点で抑えた。この違いが出た試合だった」と中日の中継ぎ陣を称えた。
打線については「本当によく粘った。出てほしい選手がきっちりと塁に出て、打ってほしい選手がしっかり打った。昨季までは、こういう点の取り方はあまり見られなかった」と役割を果たしながら繋いでいった打線に高評価。「勝っても負けても、よく点が入っている。昨季は1試合平均3点取れなかった。それに比べれば点はとっている」と分析した。
斎藤雅樹氏も同点に追いついた野手陣に対し「昨季までなら、あのまま5−7で終わっていた。本当に9回の粘りが素晴らしかった」と賛辞を送った。
☆協力:フジテレビONE『プロ野球ニュース2024』
2024年05月05日 07:00
「巨人2−1阪神」(4日、東京ドーム)
阪神が今季初のサヨナラ負けで巨人に連敗を喫し、7カードぶりの負け越しとなった。それでも初回1死一塁では吉川尚の右中間への二塁打に、右翼・森下からの送球で中継に入った小幡が本塁へストライク送球してアウトに。デイリースポーツ評論家の糸井嘉男氏は「目を奪われた」とビッグプレーを絶賛した。
◇ ◇
サヨナラ負けは今季初ですか…。それだけ中継ぎ陣が頑張ってきたということで、責めることなんてできません。長いシーズン、こういう試合もあります。そんな中、目を奪われたのは、初回1死一塁からの右翼・森下選手と遊撃・小幡選手による中継プレーです。
まず吉川選手が放った右中間に抜けそうな打球を森下選手がよく止めました。スライディングしていなかったら本塁生還を許していたでしょう。外野手として、いっぱいいっぱいのプレーです。それでも三塁コーチャーは回しました。そこで出ましたね、小幡選手の“バズーカショルダー”。本塁への送球も正確で、先制点を阻止するビッグプレーになりました。
僕も間近で見ていましたが、小幡選手の肩は若いし、柔らかいし、球が伸びてくる。課題とされる打撃も年々、向上しています。今、メジャーリーグではレッズのデラクルーズ選手のような大型ショートが出てきています。彼のようなスケールの大きな選手に育って、100マイルの送球も見せてほしいですね。